【CAE】Salome-Meca 2021の使い方 固有振動数解析編 メッシュの2次要素と1次要素

CAE

 

こんにちは、うさじん(@Rabi_Jin_)です。

いつもながら少し時間が空いてしまいました。

今回はSalome-Mecaの固有振動数、メッシュの2次要素と1次要素の違いの比較検証です。

ではやってみます。

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理論解の比較

まずは前回での理論解と解析結果の比較のおさらいです。

比較結果は以下となります。

次数 A:理論解 B:解析結果 誤差(B/A) 方向
1次 8.2541 8.2721 1.00 短辺方向の1次
2次 16.5083 16.525 1.00 長辺方向の1次
3次 51.7318 51.8187 1.00 短辺方向の2次
4次 103.4636 103.371 0.99 長辺方向の2次
5次 144.8651 145.003 1.00 短辺方向の3次
6次 289.7303 283.895 0.97 長辺方向の3次

メッシュを2次要素で行った場合、理論解と解析結果に誤差はほとんどなく、
精度の良い解析結果を得ることができました。

今回は2次要素で設定したメッシュを1次要素で解析したいと思います。

解析のモデルは以下になります。

片持梁

 

Salome-Mecaの解析設定

Salome-Mecaの設定について、ある程度は割愛していきます。

詳細な設定方法は前回記事をご参照下さい。

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ジオメトリの設定

まずはジオメトリを作成します。

拘束する面の設定も合わせて行います。

ジオメトリの作成

 

メッシュの設定

メッシュを作成します。

メッシュの大きさは前回と同様に10mmとします。

メッシュの作成

 

1次要素での設定

メッシュの作成が完了した際、前回は1次要素から2次要素へ変換しました。

1次要素から2次要素への変換

 

今回はこの設定を行わず、1次要素のまま解析を実行します。

1次要素の場合は以下のメッシュ情報となります。

1次要素のメッシュ情報

 

解析設定&解析実行

解析設定を行います。

アシスタントウィザードで解析設定

 

解析を実行

 

解析が実行できました。

AsterStudyを開き、ポスト処理画面に移行します。

ParaVisを開く

 

固有振動数結果を表示させます。

解析結果の表示

 

解析結果

解析結果の比較

メッシュ2次要素である前回結果と比較したところ、今回の解析結果では異なる数値を得ました。

2次要素と1次要素の解析結果比較

 

1次要素の固有振動数の確認

1次要素の固有振動数から振動モードの形状を確認した結果、以下となりました。

(振動モードの形状はその固有振動数に対応した揺れ方を示します。)

固有振動数の次数 固有振動数(Hz) 振動モードの形状
1次 17.2266 短辺方向の1次揺れ(長辺方向への揺れも若干含む)
2次 108.2 長辺方向の1次揺れ(短辺方向への揺れも若干含む)
3次 135.699 短辺方向の2次揺れ(長辺方向への揺れも若干含む)
4次 301.975 長辺方向の2次揺れ(短辺方向への揺れも若干含む)
5次 381.704 短辺方向の3次揺れ(長辺方向への揺れも若干含む)
6次 588.971 長辺方向の3次揺れ(短辺方向への揺れも若干含む)

 

6次の振動モードの揺れ方を動画で取ってみました。

 

2次要素と1次要素の比較と分析

2次要素と1次要素の固有振動数の値の誤差比をまとめてみました。

次数 A:理論解 B:解析結果-2次要素(誤差比:B/A) C:解析結果-1次要素(誤差比:C/A) 方向
1次 8.2541 8.2721(1.00) 17.2266(2.08) 短辺方向の1次
2次 16.5083 16.525(1.00) 21.3822(1.29) 長辺方向の1次
3次 51.7318 51.8187(1.00) 108.2(2.09) 短辺方向の2次
4次 103.4636 103.371(0.99) 135.699(1.31) 長辺方向の2次
5次 144.8651 145.003(1.00) 301.975(2.08) 短辺方向の3次
6次 289.7303 283.895(0.97) 381.704(1.31) 長辺方向の3次

 

2次要素に対し1自要素は100%以上の誤差が出ているモード形状を確認しました。

こうやってみると1次要素の誤差の大きさに規則性があるように見えます。

長辺方向の誤差と比較して、短辺方向の誤差が大きく見られます。

これはメッシュの切り方によるものが影響していると思われます。

メッシュ 長辺方向は2列、短辺方向は1列

 

10mmでメッシュを切った場合、長辺方向はメッシュが2列あるため、短辺方向より精度が良いのだと思われます。

つまり、10mmの厚みを持つ解析対象に対し、10mmの1次要素のメッシュを切っても解析精度は良くないということです。

ではメッシュサイズを半分の5mmにしたら解析精度は上がるのでしょうか。

それを確認するため、5mmの1次要素のメッシュで再解析しました。

結果は以下です。

次数 A:理論解 B:解析結果-2次要素
(10mmメッシュ)(誤差比:B/A)
C:解析結果-1次要素
(10mmメッシュ)(誤差比:C/A)
D:解析結果-1次要素
(5mmメッシュ)(誤差比:D/A)
方向
1次 8.2541 8.2721(1.00) 17.2266(2.08) 10.8546(1.31) 短辺方向の1次
2次 16.5083 16.525(1.00) 21.3822(1.29) 18.046(1.09) 長辺方向の1次
3次 51.7318 51.8187(1.00) 108.2(2.09) 67.8876(1.31) 短辺方向の2次
4次 103.4636 103.371(0.99) 135.699(1.31) 112.728(1.08) 長辺方向の2次
5次 144.8651 145.003(1.00) 301.975(2.08) 190.064(1.31) 短辺方向の3次
6次 289.7303 283.895(0.97) 381.704(1.31) 315.072(1.08) 長辺方向の3次

Dの解析結果を確認すると、5mmメッシュにすることでより理論解に近似してくることがわかりました。

長辺方向では誤差も10%以内になりました。

要素数は多くなりますが、5mmメッシュのほうが精度が良いということが確認できました。

デメリットは要素数が多くなることで、解析の時間の増大、データファイルの肥大化が懸念されます。

こうみると、10mmメッシュであるにも関わらず2次要素での解析結果はかなり精度が良いです。

Bのメッシュモデルは、Cのモデルと同要素数であるにも関わらず、誤差5%以内で結果を得ています。

ソリッドモデルのテトラメッシュにおいては2次要素を考慮したメッシュが精度良く解析できるのだと思われます。

 

要素の1次要素と2次要素については以下のリンクでわかりやすく解説されています。

MONOist

ピンポン球が1個、箱の中にあって、天井からひもでぶら下がっている。実はこのピンポン球が有限要素の“何か”。…

 

おわりに

今回の解析でメッシュの設定は解析結果に大きく影響することがわかりました。

また、単純にメッシュを細かくすれば精度が良くなるわけではないこともわかりました。

Salome-Mecaを使用するだけではなく、CAE全般に言える事なので、なかなか勉強になる検証でした。

 

次回は、Salome-Mecaの振動モードのアニメーションの設定方法をやりたいと思います。

ではまた次回の記事でお会いしましょう。

 

参考サイト

ピンポン球を使って6自由度について説明してみた | Monoist

Salome-Mecaについて、ご興味の方は以下の書籍が参考になります。

CAEについて、ご興味の方は以下の書籍が参考になります。

 

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